BAM鎌倉を知る

英国アンティーク博物館 BAM 鎌倉とは?
英国アンティーク博物館 BAM鎌倉は、鶴岡八幡宮の参道沿いに位置し、館長の土橋正臣が集めた100年以上の歴史ある本物の英国アンティークを展示し、「モノを引き継ぐ大切さ」をテーマに掲げたミュージアムです。
館内には、ジョージアンルームやヴィクトリアンルームと時代別にアンティークを紹介しています。特に3階には当時のアンティークを用いた 『シャーロック・ホームズの部屋』 が再現されており、コナン好きの方は必見です。グランドフロアにはヴィンテージのロンドンタクシーやテレフォンボックスも展示されています。
また、BAM 建築設計は建築家、隈研吾氏が手がけ、窓のないミニマルな外観と鎌倉彫をモチーフとしたファサードが印象的です。英国の趣と鎌倉ならではの文化が融合する空間となっています。

シャーロック・ホームズの部屋を再現
英国アンティーク博物館 BAM鎌倉の大きな見どころのひとつが、3階に設けられた「シャーロック・ホームズの部屋」の再現です。ヴィクトリア時代の暖炉や椅子、ランプ、バイオリン、薬瓶など、本物のアンティークを用いて細部まで忠実に再現し、まるで名探偵が今にも現れそうな臨場感を体験できます。
また、貴重な初版本も展示されており、シャーロキアン(ホームズの熱狂的ファン)には必見です。さらに本展示は、ロンドン・ベーカーストリートにあるシャーロック・ホームズ博物館と公式に連携しており、現地の資料を通じて本格的な世界観を日本で楽しむことができます。鎌倉にいながら英国文学と探偵の時代を追体験できる特別な空間です。

英国アンティークを時代やテーマ別に展示
英国アンティーク博物館 BAM鎌倉では、各フロアごとに時代やテーマを分けた展示が楽しめます。2階の「ジョージアンルーム」では 18世紀英国の優雅な銀器やハーブ、家具や英国王室御用達の靴ジョン・ロブ・ロンドンの木型などを紹介し、3階はヴィクトリア時代の「シャーロック・ホームズの部屋」を本物のアンティークで再現。4 階の「ヴィクトリアンルーム」では豪華な蓄音機やピアノ、そして女王関連の調度品が並び、華やかな暮らしを見学できます。さらに館内には古書、時計、ティーセット、ステンドグラスなど多彩なコレクションを配置し、訪れる人々に英国の歴史と美意識の変遷を物語ります。鎌倉で時代を超える英国文化の旅を味わえる空間です。
Director

土橋 正臣Masaomi Dobashi
英国アンティーク博物館 BAM鎌倉
- 館長より -
英国アンティーク博物館 BAM 鎌倉へようこそ。
私が初めて英国を訪れたのは約 30 年前のことでした。そこで出会ったのは、古い家具や調度品が人々の暮らしの中で今も息づき、大切にされている風景でした。「時を重ねたモノは輝きを増す」という考え方に強く心を打たれ、アンティークを通して人の歴史を引き継ぐ素晴らしさを知りました。
アンティークとは、人の手によって創られ、100 年以上の時を経たものを指します。ただ古いだけではなく、作り手の技術はもちろん、それを守り伝えてきた人々の心が込められています。それを手にすることで、過去と今がつながり、モノを大切にする心を育むことができるのです。
当館では、こうしたアンティークを用いて、名探偵シャーロック・ホームズの部屋も再現しています。
19 世紀末のロンドンの空気をそのままに感じられる空間は、多くの方に人気の展示です。
鎌倉は、武家文化の歴史が息づくと同時に、英国のナショナルトラストの精神に通じる「自然や文化を守る思想」を大切にしてきた町です。この地に博物館を開いたのは、訪れる皆さまに古き良きものの魅力を感じていただきたいという願いからです。
観光の合間にふと立ち寄れば、時を超えて受け継がれてきたアンティークの世界に触れることができます。きっと「便利さや新しさ」とは違う豊かさに気づいていただけるはずです。特に若い世代の皆様に、モノを大切に思う心を感じ取っていただければ、これ以上の喜びはありません。
鎌倉散策の折には、ぜひ BAM にお越しください。古き良き英国アンティークの物語を、旅の思い
出とともにお持ち帰りいただければ幸いです。

BAM 建築設計・デザインについて
英国アンティーク博物館 BAM鎌倉は、建築家・隈研吾氏が設計を担当し、鎌倉彫に着想を得たヒノキ材のファサードが最大の特徴です。参道・若宮大路沿いという歴史ある立地にふさわしく、建物正面すべての窓を廃し、「純粋さ」を追求したシンプルな造形です。
鎌倉彫を想起させる木造ルーバーは、CNC カッターでノミ跡の作る美しくシンプルな曲面を再現し、上層にいくほど細かく配することで遠近感を演出。また、敷地から出土した古材は 4階の茶室に再利用され、過去と現代が木を通じてつながるデザインになっています。


鎌倉と英国の深い繋がり
鎌倉と英国の結びつきは、英国発のナショナル・トラスト運動に端を発します。
これは歴史的資産を寄付で永続保存する取り組みです。
実は 1964年、鶴岡八幡宮の裏山が宅地開発の危機に直面しました。この時、作家・大佛次郎氏が立ち上がり、このナショナルトラストの思想をもとに鎌倉市民や行政と共に開発を防ぎ、日本初の風致保存会が設立されたのです。その活動は全国に波及して古都保存へとつながりました。



隈研吾氏と鎌倉、英国の繋がり
鎌倉と隈研吾氏の繋がりは特別です。隈氏は鎌倉の栄光学園、中・高校の出身で、若き日をこの地で過ごしたことから鎌倉に地の利を持ちます。BAM 鎌倉の設計を担った隈氏は、英国スコットランドに建つ V&A 博物館ダンディの設計者としても知られます。V&A はアンティークや工芸を収蔵し、日本美術の影響を受けた建築家チャールズ・レニーマッキントッシュによるティールームも展示。
鎌倉で育まれた感性と英国のデザイン遺産が、隈氏の建築を通じて響き合い、BAM 鎌倉はまさに東西文化の架け橋を体現しています。このように、英国と鎌倉は「古き良きものを丁寧に守る」という理念を共有し、文化遺産としての価値を後世に伝える強い縁が育まれているのです。

BAM 鎌倉は北条小町邸跡地と判明!
英国アンティーク博物館 BAM鎌倉の建つ土地から、北条氏の家紋「三つ鱗紋」を刻んだ瓦などが出土し、鎌倉幕府第3代執権・北条泰時と第5代執権・北条時頼が暮らした「北条小町邸」跡であることが発掘調査により確認されました。建設に先立ち神奈川県教育委員会の指導のもと発掘調査が行われた結果、邸宅と段葛を結ぶ橋の土台材や陶磁器片などが発見され、北条氏邸宅であったことが裏付けられました。
泰時は御成敗式目を制定し幕府を制度的に支え、時頼は建長寺を創建するなど鎌倉幕府の基盤を築いた人物です。その両者が暮らした地に、時代を超えて受け継ぐ英国アンティークを展示する博物館が建つことは、歴史と文化の継承を象徴する運命的な出来事といえるでしょう。

BAM鎌倉に創られた立礼式茶室
英国アンティーク博物館 BAM鎌倉の最上階には、建築家・隈研吾氏が設計した立礼式茶室「惹採庵(じゃくさいあん)」があります。この空間には、発掘調査で見つかった北条小町邸の遺構――
段葛と邸宅を結んでいた橋の土台角材が壁の装飾として組み込まれ、歴史の記憶を現代に伝えています。さらに床材には、同時代の英国マナーハウスで実際に用いられていたオーク材が敷かれ、鎌倉と中世英国が時空を超えて響き合います。掛け軸に見立てられた縦長の窓からは、ナショナルトラスト運動で守られた御谷の森や、鶴岡八幡宮の神殿と鳥居が望め、四季の景色が背景として溶け込みます。日本と英国の美意識が融合し、保存と継承の精神を象徴する特別な茶室です。

Architect

建築家隈 研吾
- 建築家 隈研吾より -
英国と日本の文化には深いつながりがあります。例えば、スコットランドの建築家チャールズ・レニー・マッキントッシュは、日本の建築やデザインに大きな影響を受け、自らのティールームに取り入れました。
その意匠はまるで日本そのものを映したようであり、私が2018年に設計したスコットランドのV&Aダンディー・デザインミュージアムにも再現されています。そこでは英国のアンティークと現代的なデザインが共に展示され、まさに「OLD & NEW」、時代を超えた融合の世界が広がっています。
今回、鎌倉の歴史ある段葛の参道に誕生した英国アンティーク博物館 BAMには、土橋館長が長年かけて集めた 100年以上の歴史をもつ純粋なアンティークが並びます。そのため建物のデザインも、飾りを排し、できる限り純粋な形であるべきだと考えました。何度も思索を重ねた結果、すべての窓をなくしてシンプルに整え、鎌倉の伝統工芸「鎌倉彫」に着想を得た外観を採用しました。
BAMは、英国ナショナルトラストの思想に影響を受けた保存活動によって守られてきた鶴岡八幡宮裏山・御谷(おやつ)の自然とも響き合いながら、鎌倉の地で長く愛される文化施設になることでしょう。
Advisory Member

館長




設計室長

代表取締役


代表取締役

代表取締役

クリエイティブディレクター

研究家

代表取締役

1966年生まれ。長崎大学大学院修了。外資系製薬会社の研究員を経て、2007年 株式会社ファーマブリッジを設立。また、大学院卒業後に初訪問したイギリスの文化に衝撃を受け、2012年鎌倉アンティークスを設立。英国アンティーク輸入やイギリス関連イベントのコーディネートを手掛ける。日本一のロンドンタクシーコレクターとして、本物のブラックキャブを年代別に所有する。また、2022年、長年の夢であった英国アンティーク博物館「BAM鎌倉」をオープンさせる。建築デザインは隈研吾氏が担当。古き良きものを継承する啓蒙活動の一環として「No Antique No Life」を掲げて次世代に向けてアンティークの素晴らしさを発信中である。

東京大学建築学科大学院修了。1964年東京オリンピック時に見た丹下健三の代々木屋内競技場に衝撃を受け、 幼少期より建築家を目指す。大学では、原 広司、内田祥哉に師事し、大学院時代にアフリカのサハラ砂漠を横断し、 集落の調査を行い、集落の美と力にめざめる。コロンビア大学客員研究員を経て、1990年、隈研吾建築都市設計事務所を設立。 これまで30か国を超す国々で建築を設計し、(日本建築学会賞、フィンランドより国際木の建築賞、イタリアより国際石の建築賞、 ほか)、国内外で様々な賞を受けている。その土地の環境、文化に溶け込む建築を目指し、ヒューマンスケールのやさしく、 やわらかなデザインを提案している。また、コンクリートや鉄に代わる新しい素材の探求を通じて、 工業化社会の後の建築のあり方を追求している。