
「Hello 鎌倉」その7. “苔寺”妙法寺(大町)(鎌倉ガイド協会 × BAM鎌倉)
【こちらのブログは英国アンティーク博物館と鎌倉ガイド協会がコラボして作成します。】
鎌倉ガイド協会は源頼朝が鎌倉の地に幕府を開いてからの歴史を基に、寺社や史跡の数々を多くの方々にご案内しております。三方を山に囲まれ、一方を海に開いた古都鎌倉。歴史散歩、寺社めぐり、ハイキング、季節の花観賞、マリンスポーツ、旬の鎌倉野菜やシラス等地元食材を使ったグルメ。四季を通じて多くの方々に愛される鎌倉ですが、鎌倉をよりお楽しみいただけるよう、「Hello 鎌倉」その7として鎌倉ガイド協会が今月ご紹介するのは、“苔寺”と呼ばれて親しまれている大町の妙法寺です。
大町の妙法寺へは、鎌倉駅東口から徒歩約 16 分。県道 311 号を逗子方面へ進み、安養院を過ぎた先の信号を左折します。さらに最初の道を右折すると、額田記念病院の北側、山裾に妙法寺が佇んでいます。(鎌倉市大町 4-7-4)

楞厳(りょうごん)山妙法寺は日蓮聖人が鎌倉での布教のために草庵を結んだ地に建つ日蓮宗寺院です。開山は日蓮で、本尊は一塔両尊四士(*南無妙法蓮華経というお題目と、多宝如来・釈迦如来、日蓮宗の四菩薩のこと)です。境内には肥後熊本藩細川家寄進の本堂、水戸徳川家寄進の法華堂等があります。本堂には、一塔両尊四士、日蓮、四菩薩、文珠・普賢菩薩、不動明王、愛染明王、四天王など多くの木造の像が安置されています。現在のご本堂は江戸時代に肥後熊本藩主細川斉茲(なりしげ)が幼くして亡くなった娘の冥福を祈願して寄進の総欅(けやき)造りです。

天井と四方の欄間には、鮮やかな四季の花々が描かれています。斉茲が娘の供養にとお抱え絵師に手向けの花を描かせたようです。法華堂には、日叡作と伝わる“厄除祖師像(やくよけそしぞう)”が安置されています。大覚殿には釈迦如来・加藤清正公像・稲荷明神等が祀られています。境内の仁王門から法華堂にいたる石段の苔が美しく、鎌倉の“苔寺(こけでら)”と呼ばれて親しまれています。

元々、当地には日蓮が開山の「本国寺」が建っていましたが、後に本国寺は京都に移ります。そこで、5 世日叡(にちえい)が、延文 2(1357)年に亡き父護良親王の菩提を弔うために伽藍を再興し、中興開基となりました。境内の裏山西側には日叡とその母(南の方)の墓が、東側には父護良親王の墓があります。

日叡の幼名が楞厳丸、房号が妙法房で現在の山号寺号となったと伝わります。護良親王墓所からの眺望が見事なので、ご紹介します。海街鎌倉が一望です。

~苔の石段~ 仁王門から法華堂に向かう“苔の石段”は、妙法寺が「鎌倉の苔寺」と言われる由縁です。石段全体に広がる鮮やかな苔が見事です。法華堂の前には、日叡のお手植えといわれるソテツが植えられています。

~「鷲(わし)の宮」の伝説~ 境内の「鷲の宮」には大鷲(おおとり)明神が祀られています。由比の長者・染屋時忠の娘が鷲に攫(さら)われ、その後、娘の残骨が各地で発見されます。その一つが妙法寺のある地だと伝わります。時忠は怒り、鷲を悉(ことごと)く殺したために、その祟りを恐れ、また再び子供が鷲に攫われることのないようにと、当寺境内に「鷲の宮」を祀ったといわれています。当寺には幼子が鷲に乗った神像がお祀りされています。染屋時忠の娘に関する伝説は、鎌倉市内の西御門来迎寺・魔の淵の地蔵・辻薬師堂・多聞院・六国見山・塔ノ辻にも残されます。(*妙法寺では現在、鷲宮に関するお祭りはおこなっていません)
~仏縁は恩讐を越える~ 妙法寺の開山は日蓮、2 世日朗、3 世日印、4 世日静(にちじょう)、5世日叡と住持が続きます。日静と日叡は仏縁では師弟関係ですが血縁では敵味方に分かれます。
護良親王と足利尊氏は鎌倉幕府を倒すまでは味方同士でしたが後に敵対します。日叡の父の護良親王は足利直義(ただよし=尊氏の弟)により命を奪われます。日静は尊氏・直義の叔父といわれています。ですが仏縁は、血縁の恩讐を越えて、日静と日叡の師弟を結びます。
~松葉ヶ谷は日蓮が草庵を営んだ地~ “松葉ヶ谷(まつばがやつ)”は名越に含まれる地域で谷内には妙法寺・安国論寺・長勝寺があります。3ヶ寺とも日蓮が建長 5(1253)年に草庵を営んだ本国寺旧跡と伝わります。妙法寺には御小庵趾が残ります。

また、源平合戦の屋島の戦いで名を馳せた那須与一宗高が住んでいたともいわれます。那須与一は平家側が掲げた扇の的を見事に射落した逸話が有名です。この地には弓の稽古場の「的場(まとば)」があり、「的場ヶ谷」が訛って「松葉ヶ谷」となったといわれています。ここで与一は弓の稽古をしていたかもしれません。
妙法寺境内に咲く 9 月の花です。フヨウとシュウカイドウとヒガンバナ。



緑深い境内は四季折々の植物に彩られます。
鎌倉ガイド協会は、月 3 コースの企画ガイド「史跡めぐり」をはじめとし、休日散歩、個別、学校、旅行社、英語ガイド等で、お客様に日本遺産のまち鎌倉と、歴史的に関係の深い神奈川県内の史跡をご案内しております。
来月 10 月の史跡めぐり B コースのテーマは「秋涼の鎌倉 日蓮聖人の時代を歩く」。苔寺・妙法寺のご本堂で金銀箔の装飾をほどこされた華麗な障壁画や天井画を拝観します。ご期待ください。
鎌倉ガイド協会公式ホームページ:https://www.kcn-net.org/guide/
*ブログで使用しました画像については、妙法寺様の掲載許可をいただいています。